愛に忠実







ホグワーツに来るにあたって、スーツケースひとつというわけにはいかなかった。所有していた生家を手放すことにしていたからだ。両親が亡くなってからはリーマスと二人で古いアパートや安いホテルで暮らすようになり、まったく屋敷には足を運ばなくなった。だから生家から必要なものをたくさん持ってこなければならず、今の部屋はモノというモノで溢れかえっている。とにかく片付けなければ。いまは一番たんすが邪魔だ。


「助手殿の部屋はこんなところにあるのか」
「さっすが、新進気鋭の助手は違うな」
「「尊敬するよ、助手」」
「・・・フレッド、ジョージ、嫌味かなそれは」


グリフィンドール寮の最深部にの部屋はあった。シャワールームとちょっとしたキッチンが備え付けられ、窓が二つ設けられていた。生活に不便はなく、日当たりも良好。は素晴らしい物件を手に入れた気でいた。 今日は休日で、グリフィンドールの数名に荷物の整理の手伝いを頼むことにした。ハリーとロンとハーマイオニー、それからロンの兄弟の双子を部屋に呼んだのだが、無駄話ばかりでなかなか作業が進まない。ハリーが雑巾で棚を拭きながら聞いてきた。


がグリフィンドールの寮監をやるって聞いたんだけど、それって、ほんと?」
「なんだ、もうばれてるのか」


マクゴナガルに、駄目を知ってて頼み込んだ。寮監をやりたいと。すると「あなたはグリフィンドールの生徒に好かれているようですし、よろしい、いいでしょう。しかしこれだけは守ってください。グリフィンドール寮の生徒だからといって、甘やかさない。いいですね」とマクゴナガルは厳かな口調で言った。
グリフィンドール寮の生徒だからといって、甘やかさない。それは身を持って知っているし、理解しているつもりだ。自分もマクゴナガルに相当しごかれた身だ。寮監なのに減点もかなりされたし、罰則も躊躇なく下された。今でも彼女への恐怖は変わらない。


「もちろん、今年のクディッチカップはいただきだからな」
「うん、が言うんだから間違いないわ」
「がんばってくれよハリー」
「・・・・ロン、わかってるよ」


は五人のために紅茶をいれながら、笑った。自分もクディッチの選手として戦ってきた。クディッチカップ、ほしいに決まっている。


生徒たちは荷物から妙なものが見つかるたびに目を光らせた。のことが少しずつわかっていくようで、とても新鮮な気持ちになってゆく。五人は五人とも同じことを思っていた。横で自分たちを見て微笑んでいるこの青年は、どんな人なのだろう。どんな生き方をしてきたのだろう。五人の心の中に、まるで恋のような想いが芽生える。


ハーマイオニーは彼の服をたたみ、たんすに仕舞いながらを見つめていた。
初めてこんな人に会った。控えめではないが、自分を強く主張することはない、不思議な安心感のある人。きれいに笑う人だとも思った。すごくおしゃれな人だとも言える。初めて出会う人種だ。
もっと知りたい。なぜこんな人になったのか。なぜこんなに魅力溢れる人なのか。
知りたい。






















2007.9.30(2010.1.12 改訂)